荒井良二の山形じゃあにぃ2010

ぼくが山形を紹介する展示ではなく山形の入り口を探す旅なんだと思うよ。これがぼくからいろんな人に広がってみんなの入り口になればと思うけどねー。山形の人も山形以外の人も。

2005年にスウェーデンの児童少年文学賞『アストリッド・リンドグレーン記念文学賞』を受賞し「斬新、大胆、気まぐれ、独自の発光力を持つ作家」と世界に評されたアーティスト荒井良二。そのマジカルな創作活動は、これまで数多く出版されている絵本だけにとどまらず、小説や教科書の装画、挿絵、広告、舞台美術、アニメーション、ライブペインティング、音楽活動など多岐におよんでいます。非日常への旅へと誘うリリカルな心象風景や、有象無象のかたちが跳躍するその筆先が、子どもから大人まで幅広い世代を魅了しています。
今年4月に刊行された絵とドローイングの作品集『meta めた』(フォイル)で、荒井はそのタイトルの示す通り、絵本作家として定着した自らのイメージを「超える(meta)」ためのあたらしい旅をはじめました。その余波を受けとり、アーティストの郷里・山形市で開催する本展では、絵画や舞台美術など、荒井が自らセレクトした近年の実験的な作品群を展示する他、展示会場となる旧校舎の空間に触発されたインスタレーションを、山形の市民や学生たちとともに制作・展示します。
本展の会場『山形市立第一小学校旧校舎』は、山形県初の鉄筋コンクリート造の学校建築として昭和2年に竣工後、全国産業博覧会の会場にも使われましたが、老朽化により校舎としての役割を終え、平成13年に国の登録文化財に指定されました。現在は、ものづくりや地域文化の継承と発信を掲げる『山形まなび館』として再生されています。ドイツ表現主義の影響が認められる重厚かつモダンな外観と、白く美しい漆喰の壁。美しく再生された校舎のあちこちで、荒井良二の『山形じゃあにぃ』が賑やかに繰り広げられます。
高校を卒業するまでの18年間を東北で過ごした荒井良二。「ぼくが山形を紹介する展示ではなく、みんなで〈山形への入り口〉を探す旅なんだ」と語る荒井の、現在進行形の『じゃあにぃ』は、回顧的な装いはみじんもなく、チャレンジと協働の喜びに満ちた、郷里―山形への帰還となります。

荒井良二|似顔絵

荒井良二

1956年山形県生まれ。イラストレーター・絵本作家。小学館児童出版文化賞、ボローニャ国際児童図書展特別賞、講談社出版文化賞絵本賞、日本絵本賞など国内での受賞多数。2005年にはスウェーデンの児童少年文学賞『アストリッド・リンドグレーン記念文学賞』を日本人で初めて受賞するなど海外でも高い評価を受ける。小説の装画、挿絵、広告、舞台美術、アニメーションなど幅広く活躍。絵本に『はっぴぃさん』『たいようオルガン』(偕成社)『えほんのこども』(講談社)『うちゅうたまご』(イースト・プレス)『モケモケ』(フェリシモ出版)、作品集に『metaめた』(フォイル)他多数。
WEBサイト: http://www.ryoji-arai.info/
ブログ(日常じゃあにぃ)http://blog.ryoji-arai.com/

荒井良二の山形じゃあにぃ 2010
会場:山形まなび館(〒990-0043 山形市本町1-5-19)
会期:2010年9月16日(木)~10月31日(日)
時間:9:00~18:00(月曜休館|但し祝日の場合は翌火曜日) 
主催:東北芸術工科大学
共催:山形まなび館
協力:山形広域観光協議会、山形市立第一小学校、山形国際ドキュメンタリー映画祭事務局
企画協力:アカオニデザイン、Rコモンズ、フォイル、目黒実
企画:東北芸術工科大学美術館大学センター
宣伝美術:アカオニデザイン
キュレーター:宮本武典(東北芸術工科大学講師・主任学芸員)

Exhibition

荒井良二が自らセレクトした絵画・絵本・舞台美術の仕事。
『絵本作家=荒井良二』の従来のイメージをくつがえす、新境地のアートワークが山形に集結。

一生一小のラフスケッチインスタレーション

一生一小
戦前に建てられた小学校校舎『山形まなび館』。美しく甦った教室に、摩訶不思議なオブジェや遊具が置かれ、校舎は再び子どもたちの遊び場となる! 本展のために荒井さんがつくりあげた遊戯空間。

metaめたの作品絵画シリーズ

metaめた
絵本の枠から解き放たれ、描くよろこびにあふれた絵画やドローイング… 荒井良二の〈other side〉が作品集にまとまった。「超える(meta)」という思いを込めた作品集『meta めた』掲載作品を展示。

あいのてのテレビセット舞台美術

あいのて
2006年にNHK教育テレビで放映された音楽番組『あいのて』。日常生活の音が〈音楽〉に生まれ変わる不思議な舞台は、荒井さんの手によるもの。番組終了後も保管されていた伝説のセットを再生。

モケモケの原画絵本原画
モケモケ

今年の5月に出版された最新絵本『モケモケ』。「いろんな感覚が、あっちからやってくる(…)もう二度と会えない感覚とさよならするって絵本」(荒井良二)。五感を刺激する「モケモケ」体験。

イベント

◯ライブペインティング 『やまがたオルガン』

音楽のライブと同じように、〈観客との対話〉や〈場の共有〉を重視するライブペインティングは、アーティスト荒井良二の真骨頂。その自由奔放かつ解放感に満ちた筆先・指先を間近で体感できるプログラムです。荒井良二の筋書きなし&設計図なしの即興制作が展開!

日時:10月16日[土]15:00→17:30(開場は14:30~)
出演:荒井良二
会場:山形まなび館前庭
定員:80名←定員に達したため、受付を締め切りました。
入場料:1,000円(ワンドリンク+ドーナツ付)
企画協力:山形まなび館、手づくりパンNOUKA、Rコモンズ
申し込み方法:Eメール(museum@aga.tuad.ac.jp)またはお電話(023-627-2091)にてお申し込みください。9月1日[水]より受付を開始します。定員になり次第、締め切ります。

*天候その他の事情により当日になって会場を変更する場合があります。
*同伴される中学生以下のお子さまの入場は無料です。
*イベントの収益は完成したライブペインティング作品の保管・運搬・展示費用に充てさせていただきます。

撮影:石川武志

◯トーク 『荒井良二+竹井正和の持ち込みナイト』

荒井良二の最新作品集『mata めた』を手がけた竹井正和が、2007年より毎月開催しているポートフォリオ・レビューイベント『竹井正和の持ち込みナイト』を特別開講。ともに出版界で活躍するお2人に作品を批評してもらいたいというクリエイターの皆さん、ぜひ自作を持ち込んでください。

日時:10月16日[土]19:00→21:30頃
会場:山形まなび館休憩室
出演:荒井良二、竹井正和(編集者/フォイル代表)
持ち込み定員:先着10名(作品ポートフォリオと最大で80号程度の実作品1点を、当日の18:00に参加者が直接会場に持参ください。原則として郵送による持ち込み・返送には対応しません)←定員に達したため、受付を締め切りました。
申し込み方法:Eメール(museum@aga.tuad.ac.jp)またはお電話(023-627-2091)にてお申し込みください。9月1日[水]より受付を開始します。定員になり次第、締め切ります。なお、トーク聴講のみの方は事前申し込みの必要はありません。
*会場は当日になって変更になる場合があります。

ゲストプロフィール:竹井正和|Masakazu Takei
1961年、大阪・西成生まれ。84年、径書房に入社し、径書房社長を経て、89年、28歳でリトルモア設立。大竹伸朗の作品集、浅野忠信の画集、ホンマタカシや川内倫子の写真集、町田康のエッセイ集、吉本ばななのインタビュー集などを手掛ける。2004年にリトルモアを退社し、フォイル設立。現在はフォイル代表。アート本の編集を中心に数々の本を手がける。奈良美智、Ron Mueckなどアートをはじめとした本の編集に携わる一方、2007年にはフォイル・ギャラリーもオープンさせ、現代アートを多角的に紹介している。